悩む人日中の明るい時間帯に、滝や川の水を糸のように撮りたい…



そんな悩みに今回は応えていきたいと思います。
憧れの写真を撮ろうとして、カメラの設定をいじっても、なかなかシャッタースピードが遅くならず、諦めてしまった経験はありませんか?
その悩みを解決してくれるのが、「NDフィルター」です。
NDフィルターは、一見すると地味なアクセサリーですが、風景写真や特殊な表現をしたい人にとっては、なくてはならない必須アイテムです。
この記事では、NDフィルターをこれから使ってみたい初心者の方のために、その基本的な知識から、具体的な使い方、そして後悔しない選び方まで、徹底的に解説します。
・NDフィルターとは何か?なぜ必要とされているのか?
・NDフィルターを使うとどんな写真が撮れるのか?
・NDフィルターの正しい使い方と、シャッタースピードの計算方法
・自分に合ったNDフィルターの見つけ方と選び方のポイント
それでは、解説していきましょう!
そもそもNDフィルターとは?なぜ必要なの?
NDフィルター(Neutral Density Filter)とは、簡単に言えば「カメラ用のサングラス」です。レンズに取り付けることで、カメラに入る光の量を強制的に減らす役割を果たします。



「なぜわざわざ光を減らす必要があるの?」
そう思う方もいるかもしれません。カメラは光を取り込んで写真を撮るため、光が多い方が良いと思いがちです。
しかし、実は光が多すぎることが、意図した表現を妨げてしまうことがあるのです。
例えば、滝を流れる水を絹のような白い糸のように写したい場合、シャッタースピードを数秒や数十秒といった「超スローシャッター」にする必要があります。
ところが、晴れた日の日中など、周囲が非常に明るい状況では、カメラは自動的にシャッタースピードを速くしてしまい、なかなか思うようにシャッタースピードが遅くできません。
- ISO感度を一番低くしても…
- F値を最大に絞っても…
それでもシャッタースピードが遅くならない、そんな時にNDフィルターの出番です。
レンズにNDフィルターを装着することで、光の量が減るため、カメラは適正な明るさにするために自然とシャッタースピードを遅くしようとします。
これにより、明るすぎる場所でも、長時間露光やスローシャッター撮影が可能になります。


NDフィルターが活躍する撮影シーンと作例
NDフィルターは、主に以下のような「動く被写体」を幻想的に表現したい時に真価を発揮します。
シーン1:滝や川の流れを「絹」のように撮る
- 撮影例: 滝壺に落ちる水、渓流の流れ、海辺の波
- 効果: 水の動きが時間軸で一枚に収まるため、滑らかで幻想的な質感になります。


水の流れを「止める」のではなく、「流れる様子」を表現することで、生命感や時間の流れを感じさせる作品が生まれます。
NDフィルターを使わなければ、ただのシャープな水の写真になってしまいます。
シーン2:街の夜景で「光の軌跡」を表現する
- 撮影例: 車のヘッドライト、鉄道の光跡、遊園地のイルミネーション
- 効果: 街を行き交う車の光が、色鮮やかな光の線として記録されます。


これは夜景撮影の定番ですが、夜でも街灯やネオンが明るすぎる場合、NDフィルターで光量を調整することで、よりシャッタースピードを遅くし、光の軌跡を長く描くことができます。
シーン3:水面を「ツルツル」の鏡面にする
- 撮影例: 湖、池、静かな海
- 効果: 水面のわずかな波や揺れが消え、まるで鏡のように周囲の景色を反射する幻想的な写真になります。
特に風が穏やかな日の水面撮影で効果絶大です。
NDフィルターを使ってシャッタースピードを遅くすることで、水面の動きがブレて写り、全体が滑らかなツルツルの質感になります。


これらの撮影例を見てわかるように、NDフィルターは単に写真を暗くするだけでなく、「時間」を表現するツールとして、あなたの写真の可能性を大きく広げてくれます。
NDフィルターの使い方:取り付けから設定まで
NDフィルターの使い方は非常にシンプルです。
NDフィルターを正しく使って、あなたの表現したい世界を形にしましょう。
ステップ1:フィルターの取り付け方
NDフィルターは、レンズの先端にあるフィルター径(通常はレンズ前面に「Φxxmm」と記載されています)に合ったものを購入し、レンズに回して取り付けるだけです。
参考動画
- カメラを三脚にしっかりと固定します。長時間露光を行うため、手ブレを防ぐ三脚は必須です。
- ピントを合わせたい場所にピントを合わせます。AF(オートフォーカス)でピントを合わせた後、MF(マニュアルフォーカス)に切り替えて、ピントが動かないように固定します。
- NDフィルターをレンズ先端のネジ山に合わせて、ゆっくりと回して装着します。
ステップ2:NDフィルターの濃さ(ND値)について理解する
NDフィルターには、「ND2」「ND4」「ND8」「ND16」「ND1000」といったように、さまざまな「ND値」がつけられています。この数値が大きいほど、光を遮る効果が強く、より写真を暗くできます。
- ND2: 光量を1/2に減らす(シャッタースピードを2倍遅くできる)
- ND4: 光量を1/4に減らす(シャッタースピードを4倍遅くできる)
- ND8: 光量を1/8に減らす(シャッタースピードを8倍遅くできる)
- ND16: 光量を1/16に減らす(シャッタースピードを16倍遅くできる)
- ND1000: 光量を1/1000に減らす(シャッタースピードを1000倍遅くできる)
このND値の選び方が、あなたの表現したい写真に合わせて最も重要なポイントとなります。
ステップ3:シャッタースピードの計算方法
NDフィルターを装着した後のシャッタースピードは、以下のシンプルな計算式で求めることができます。
具体的な計算例
例えば、フィルターを装着する前に、カメラの設定で「シャッタースピードが1/250秒」になっていたとします。
- ND4を装着した場合:
- 1/250秒 × 4 = 1/62.5秒
- ND16を装着した場合:
- 1/250秒 × 16 = 1/15.6秒
- ND1000を装着した場合:
- 1/250秒 × 1000 = 約4秒
このように、フィルターのND値と現在のシャッタースピードをかけ算することで、どれくらいの効果が得られるかを簡単に把握できます。
「滝を1秒以上のスローシャッターで撮りたい!」と考えた時も、現在のシャッタースピードを測り、この計算式を使って最適なNDフィルターを選ぶことができます。
NDフィルターの種類と選び方:後悔しないためのポイント
NDフィルターにはいくつかの種類があり、どれを選べば良いか迷う方も多いでしょう。
ここでは、初心者の方におすすめの種類と、失敗しないための選び方のポイントを解説します。
NDフィルターの主な種類
固定NDフィルター
- 特徴
-
ND16やND1000のように、特定のND値に固定されたフィルターです。
- メリット
-
画質劣化が少なく、安定した高品質な写真が撮れます。
- デメリット
-
複数のND値を使い分けたい場合、複数枚持ち歩く必要があります。
可変NDフィルター(バリアブルNDフィルター)
- 特徴
-
フィルターの枠を回すことで、ND2からND400など、ND値を自由に変えられるフィルターです。
- メリット
-
1枚でさまざまなシーンに対応でき、荷物が少なくて済みます。
- デメリット
-
広角レンズで使うとX状のムラが出ることがあり、固定NDより画質がわずかに落ちることがあります。
失敗しない選び方のポイント
① どのND値から始めるべき?
ND16は、最もバランスが良く、使用頻度が高いND値です。
日中のスローシャッター撮影に使いやすく、最初の1枚として最適です。
日中の長時間露光にはND1000がおすすめです!
滝や渓流を完全にツルツルにしたい場合や、人を消したい時など、日中でもより長時間露光が必要な場合はND1000が必要になります。
② メーカーや価格は重要?
安すぎる製品は避けましょう。
NDフィルターはレンズの前に装着するため、安価な製品は画質を大きく低下させてしまうことがあります。
色味が不自然になったり、解像度が落ちたりするリスクがあるため、信頼できるメーカー(Kenko、K&F Conceptなど)のものを選びましょう。
③ レンズへの取り付けタイプ
フィルターのほとんどは、レンズ先端に直接取り付ける「ネジ込み式」です。
手軽で扱いやすいため、最初の1枚にはこのタイプを選びましょう。
板状の角形フィルターは、専用のホルダーが必要になるため、上級者向けと言えます。


NDフィルターの見分け方



どうやって見分けるか説明します。
こちらの商品を例に説明します。
まず、商品名の中に「ND8」と書かれているので、購入するときは商品名を見て購入すれば間違い無いです。
購入後にこのフィルターってNDいくつのフィルターだっけ?となることもあると思います。
その場合は、ケースか直接フィルターの側部を見れば確認できます。


赤枠の部分を見れば、NDいくつか(上図ではND8)一瞬で分かります。
撮影現場で分からなくなったら、ここを見て確認しましょう!
まとめ



今回は、NDフィルターの基本的な使い方と選び方について解説しました
NDフィルターは、カメラのF値やシャッタースピード、ISO感度といった基本的な設定を理解した上で、さらに表現の幅を広げたい人にとって、非常に強力なツールです。
- NDフィルターとは、光を減らす「カメラのサングラス」
- 主な用途は、日中のスローシャッター撮影
- 使い方は簡単!レンズに装着してシャッタースピードを調整するだけ
- シャッタースピードの計算式を覚えておこう
- NDフィルター装着後のシャッタースピード = 現在のシャッタースピード × NDフィルターの値
- 最初の1枚にはND16がおすすめ。安価な製品は避ける
NDフィルターを使いこなすことができれば、これまで諦めていた「動」を表現した写真が、あなたの手で生み出せるようになります。
ぜひ、この記事を参考に、NDフィルターを活用して、あなたの写真撮影を楽しんでください。
こちらに、僕の尊敬するYoutuberの「ゆ〜とび」さんの参考になる動画を貼っておきます!
>>【カメラはYoutuberから学べ】初心者におすすめチャンネル5選|目的別に紹介
そんじゃまた!





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