悩む人せっかくの絶景なのに、人が多すぎていい写真が撮れない…



有名な観光地だと、人が写り込んでしまってガッカリ…



観光地だとあるあるですよね
多くの人が集まる場所では、人を写さずに風景だけを切り取るのは至難の業です。
しかし、実はその「人」をあえて写真のアクセントとして活かす方法があります。
それが、人の残像を写し込む撮影テクニックです。
この記事では、カメラ初心者の方でも人の残像を美しく写す方法を、具体的な設定例とともにわかりやすく解説します。
シャッタースピードの調整がカギを握るこのテクニックをマスターすれば、人混みを気にせず、まるでアート作品のような写真が撮れるようになります。
・残像を残した写真を撮る方法
・残像を残すシャッタースピードは
・人を消す撮影方法
それでは解説していきましょう!
結論:なぜ人の残像が写るのか?
結論から言うと、シャッタースピードを遅くすることで、写真に人の残像を写し込むことができます。
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている時間のこと。
この時間が長いほど、その間に動いた被写体はブレて写ります。
人が歩く速度は速いため、シャッタースピードを遅くすると、人の動きがブレて「残像」として写真に写し出されるのです。
風景などの動かないものはブレずに鮮明に写り、動いている人だけがブレて残像になることで、幻想的で動きのある写真に仕上がります。


まるで時間が止まったように見える風景と、そこに流れる時間の証である人の残像。
この対比が、写真に深みとストーリーを与えてくれるのです。
人の残像を残す写真の撮り方
それでは、実際に残像を残す写真を撮るための具体的な手順を見ていきましょう。
まずは、カメラを以下の設定にしましょう。
撮影モードを「A(絞り優先)モード」または「M(マニュアル)モード」に設定
シャッタースピードを自分でコントロールするため、オートモードは避けましょう。
絞り優先モードならF値を設定するだけでシャッタースピードはカメラが自動で調整してくれますが、マニュアルモードならシャッタースピード、F値、ISO感度の全てを自分で設定できるので、よりこだわった写真が撮れます。
ISO感度を最小値(100か200)に設定
ISO感度は、センサーが光を捉える感度を示す値です。
ISO感度を高くすると、ノイズが増え、画質が荒れてしまうことがあります。
また、感度が高いとシャッタースピードが速くなるため、残像が写りません。
ISO感度は可能な限り最小値に設定し、クリアな写真を撮りましょう。
F値を調整してシャッタースピードを「1秒」に設定
F値(絞り)は、レンズを通る光の量を調整する役割があります。F値を大きくする(絞る)ほど光が通る量が少なくなるため、シャッタースピードは遅くなります。
逆にF値を小さくする(開く)と、光が多く通るためシャッタースピードは速くなります。
ここでは、シャッタースピードが「1秒」になるようにF値を調整しましょう。
日中の明るい場所ではF値をかなり大きくする必要があるかもしれません。
もしF値を最大まで絞ってもシャッタースピードが1秒にならない場合は、NDフィルターなどが必要になります。


カメラ本体が少しでも動くと、写真全体がブレてしまい、せっかくの綺麗な写真が台無しになってしまいます。
そのため、三脚を使ってカメラを固定しましょう。
三脚を使うことで、動かない背景をシャープに写しつつ、動いている人だけをブレさせて残像を写すことができます。
まだ三脚を持っていない方は、この撮影テクニック以外にも夜景や星空の撮影にも役立つため、一つ持っておくことをおすすめします。
軽くて持ち運びやすいものから、プロ仕様の頑丈なものまで様々な種類があるので、自分の撮影スタイルに合ったものを選びましょう。
僕のおすすめ三脚です


カメラの設定と三脚の設置ができたら、あとは人が通るタイミングを待ってシャッターを切るだけです。
- シャッタースピード1秒: 人の動きが少しブレて、半透明の残像が残ります。人の姿がはっきりとわかる程度に残したい場合に適しています。歩く速度が速い人はブレが大きくなり、遅い人はブレが小さくなります。
- シャッタースピード2〜4秒: 人の動きが大きくブレて、流れるような残像になります。人の姿は判別しにくくなり、風景の中に溶け込むような表現が可能です。
- シャッタースピード8秒以上: 人の動きがほとんどブレて消え、まるで人がいないかのような写真になります。人がほぼ完全に消えてしまうため、被写体として捉えるというよりは、人混みを消すテクニックとして活用できます。
このように、シャッタースピードを変えるだけで写真の印象は大きく変わります。どのような残像を残したいかイメージしながら、色々なシャッタースピードで試してみましょう。
具体例から学ぶ「残像写真」の魅力
ここでは、シャッタースピードを変えることで、写真がどのように変化するか、具体的な例を挙げて解説します。
シャッタースピード1秒
たとえば、駅の改札口や、行き交う人が多い交差点などでこの設定を使えば、人々の動きがまるで絵画の筆跡のように写真に残ります。
一人ひとりの姿がなんとなくわかる程度に残るため、その場の活気や時間の流れを感じさせる写真になります。


シャッタースピード3〜5秒
人の姿は輪郭がぼやけ、線のように写り込みます。
東京の渋谷スクランブル交差点や、京都の清水寺の参道など、人が絶えず行き交う場所で試すと面白いでしょう。
人の流れが光の筋のように表現され、風景の中にダイナミックな動きが加わります。
まるで、街が呼吸しているかのような、生き生きとした写真になります。


シャッタースピード10秒以上
人が多い場所で、建物や風景をクリアに写したい時に活用できます。
例えば、お昼間の人気観光地のお寺や神社、美術館などでこの設定を使えば、まるで開館前や閉館後のように、人がいない静かな風景を切り取ることができます。
ただし、シャッタースピードが長くなると、動かずに立ち止まっている人はブレずに写ってしまうので注意が必要です。



シャッタースピードを操ると空間に字を書いたりもできちゃいます!


人を「完全に消す」撮影方法
前述の通り、シャッタースピードを極端に長く設定すれば、人の残像をほぼ完全に消すことができます。
シャッタースピードを10秒以上に設定することで、動いている人はブレ過ぎて写真に写らなくなります。


この写真を見てもらったら分かると思いますが、赤枠内に人がいましたがブレてほぼ消えています。
左の人は、シャッタースピード8秒の間にほぼ動かなかった人です!
ほぼ動かないと、ブレずに写真に写ってしまいます。


撮影のコツ
シャッタースピードを長くする
F値を大きく絞る、NDフィルター(光の量を減らすフィルター)を使う、ISO感度を下げるなどして、シャッタースピードを可能な限り長く設定します。



露出を大きくして明るく写真を撮るという裏技もあります
動かない人を避ける
長時間立ち止まっている人がいると、その人がブレずに写真に残ってしまいます。
人が流れ続けている場所や、人の動きが止まらない場所を選んで撮影しましょう。
このテクニックを使えば、人混みで諦めていた撮影スポットでも、背景を美しく写すことができます。
まとめ
今回は、人の残像を残す写真の撮り方から、人を消す方法までを解説しました。
- 残像を残すには?
- シャッタースピードを1秒前後に設定する
- 三脚でカメラを固定し、被写体ブレを意図的に発生させる
- 人を消すには?
- シャッタースピードを10秒以上に設定する
- 人が流動的に動いている場所で撮影する
この撮影テクニックは、シャッタースピードというカメラの基本的な機能を理解する上でとても役立ちます。
また、長時間露光という技法を応用すれば、夜景の車のライトを光の線として表現したり、星空を線として写す「星の軌跡」を撮ることもできます。
「人が多いから…」と諦めていた場所でも、このテクニックを使えば、あなただけの特別な一枚を撮ることができるはずです。ぜひ、色々な場所で試して、写真撮影の幅を広げてみてください。
そんじゃまた!





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